雇用保険(こようほけん)とは、日本における雇用保険法に基づく、失業・雇用継続等に関する保険の制度のことです。
保険者は日本政府。財源は雇用者と雇用主が社会保険として負担するほか、国費投入もされています。
前身の失業保険が失業の事後的対応である失業手当金の給付に重点を置いていたものに対し、雇用保険ではこれに加えて、失業の予防、雇用構造の変動への対応にも重点をおくことになりました。
改正を経て現在では求職者給付、就職促進給付、雇用継続給付、教育訓練給付の4種の「失業等給付」を規定し、さらに「二事業」と呼ばれる雇用安定事業、能力開発事業を規定しています。
さらに令和2年4月の改正法施行により「育児休業給付」を「失業等給付」と並ぶ給付の体系に再編されました。
なお労働者災害補償保険(労災保険)と雇用保険とを総称して、労働保険といいます。
雇用保険は労働者が失業したとき及び、労働者について雇用の継続が困難となる事由が生じたときに必要な給付を行うほかに、労働者が自ら職業に関する教育訓練を受けた場合及び労働者が子を養育するための休業をした場合には必要な給付を行うことにより、労働者の生活及び雇用の安定を図ります。
また求職活動を容易にするためにその就職を促進し、あわせて、労働者の職業の安定に資するため、失業の予防、雇用状態の是正及び雇用機会の増大、労働者の能力の開発及び向上、その他労働者の福祉の増進を図ることを目的としています。
この目的を達するために、失業等給付及び育児休業給付を行うほかに、二事業(雇用安定事業、能力開発事業)を行うことができます。
雇用保険法において、「離職」とは、被保険者について、事業主との雇用関係が終了することをい、「失業」とは、被保険者が離職し、労働の意思及び能力を有するにもかかわらず、職業に就くことができない状態にあることをいいます。
したがって、「離職」=「失業」ではありません。
雇用関係が存続する限りは、賃金の支払いがなくても被保険者となります。
労働者が雇用される事業は、「適用事業」となります(強制加入)。
国・地方公共団体が行う事業、法人が行う事業(法人の種類は問わず)、外国人事業主が日本国内で行う事業も、労働者が雇用される事業に該当すれば適用事業となります。
船員を雇用する事業については、それ自体を独立した事業として取り扱います(同じ事業主との雇用契約の下、船員と船員でない労働者との雇用管理が1つの施設内で行われている場合であっても、適用事業所としてはそれぞれ別々に設置させることとなる。従って、1つの適用事業所の中に、船員と船員でない労働者とが混在して被保険者となっていることはない)。
雇用保険の適用事業に雇用されている労働者は基本的に本人の意思とは関係なく、雇用保険の被保険者になります。
会社勤めをしている人などは本人が希望しなくても基本的に雇用保険に加入しているのですが、労働者の雇用形態や年齢等により以下のように分類されます。
① 一般被保険者 → 下記②~④にあてはまらない65歳未満の雇用保険被保険者。
② 高年齢継続被保険者 → 高年齢継続被保険者とは、同一の事業主の適用事業に65歳に達した日の前日から引き続いて65歳に達した日以後の日において雇用されているものと法律上定義されています。
65歳になる前から同じ事業主の下で働いている被保険者は65歳になると高年齢継続被保険者となります。
これは定年後の再雇用などの雇用形態も含まれますが、65歳になってから新たに雇用された方は65歳以前からの継続的な雇用ではありませんので被保険者とはなりません。
③ 短期雇用特例被保険者 → 短期雇用特例被保険者とは、季節的に雇用されるもののうち④に該当しないものと規定されています。
季節的に雇用されるものとは、4か月以内の期間を定めて雇用される方で、一週間の所定労働時間が20時間以上30時間未満の方を指します。
4か月の定めを超えて1年以上同じ事業主で雇用される場合は1年を超える日から①または②に該当します。
④ 日雇労働被保険者 → 日雇労働被保険者とは日々雇用される方、または30日以内の期間を定めて雇用される方と定義されています。
パートやアルバイト等の雇用形態で働く方は1週間の所定労働時間が20時間以上であることと、同一の事業主に31日以上継続して雇用されることが見込まれれば雇用保険の被保険者となります。
なお、国家公務員や地方公務員などは法令等で特別な身分保障が行われており、一般の民間労働者と比べて身分が安定していることや、失業時の保障は雇用保険を超える給付が約束される仕組みのため雇用保険の適用はありません。
保険給付についての詳しい解説は以下のリンクからご確認ください。
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